経過報告

あなた幼稚園から大学院までを見据えた教育者・保護者のための解説
はじめに
日本では、発達障害や学習障害を持つ子どもたちが年々増加しています。文部科学省の調査では、通常学級の児童生徒の約8〜10%が学習や行動面で特別な教育的支援を必要としています。
教育の権利は、幼児期から高等教育まで一貫して保障されています。しかし現場では、十分な支援が受けられずに困難を抱えるケースが後を絶ちません。
では、「支援が行われないこと」は違法にあたるのでしょうか。そして各教育段階でどのような支援が必要とされるのでしょうか。
法律上の枠組み
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日本国憲法第26条:すべての国民に教育を受ける権利を保障
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教育基本法第4条:障害の有無に関わらず平等な教育機会を保障
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障害者差別解消法(2016年施行):公立学校や大学などに合理的配慮の提供を義務付け
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学校教育法・大学設置基準:発達障害等を含む学生への支援体制の整備を要請
つまり、幼稚園から大学院まで、すべての教育段階で合理的配慮が必要とされています。
教育段階ごとの支援の特徴
幼稚園・認定こども園
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幼児教育でも「特別支援教育」の視点が導入されています。
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発達障害の子どもに対しては、以下のような支援が求められます:
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視覚的に分かりやすいスケジュール表
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活動の切り替えをスムーズにする工夫
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少人数での遊び・活動時間の確保
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園と家庭が密に連携し、生活習慣や集団適応を支えることが重要です。
小学校・中学校
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義務教育段階は、もっとも「合理的配慮」の実践が重視される場所です。
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支援例:
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ICT(タブレット・読み上げソフト)の活用
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板書や宿題の軽減
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個別支援計画の作成
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通級指導教室や特別支援学級での柔軟な対応
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学校は保護者との協議を通じて支援方針を決める責任を負います。
高等学校
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高校は義務教育ではありませんが、合理的配慮の提供義務は存在します。
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具体例:
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テストでの時間延長や別室受験
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聴覚・視覚支援機器の使用許可
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学校行事や部活動での配慮
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高校進学時点で「支援をどう継続するか」を明確にしておくことが望まれます。
大学・短大・専門学校
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大学は自主性を重視しますが、それでも「障害のある学生の修学支援」は大学の責務です。
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文部科学省も「障害学生支援のためのガイドライン」を公表し、各大学に支援室の設置を促しています。
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支援例:
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ノートテイカー(授業記録者)の配置
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授業スライドの事前配布
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試験時間の延長
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教員との個別面談による課題調整
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大学院
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大学院に進学する学生も合理的配慮を受ける権利があります。
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特に研究活動や学会発表など、個別性が強いため、大学院生本人と指導教員、大学の障害学生支援室が三者で話し合うことが不可欠です。
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配慮例:
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指導方法や研究環境の柔軟な調整
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実験やフィールドワークにおける補助員配置
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学会発表や論文執筆におけるサポート
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教育者に求められる姿勢
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障害理解を深める
発達障害は「個性のひとつ」であり、知的能力と必ずしも直結しません。正しい理解が支援の第一歩です。 -
指導法の多様化
視覚教材・ICT・個別課題など、従来の一斉授業に加えた柔軟なアプローチが求められます。 -
チームでの支援
教員一人に任せるのではなく、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラー、大学では学生支援室などと連携することが重要です。
保護者・学生自身にできること
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子どもの特性や支援ニーズを記録し、学校に共有する
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支援を求めるときは「要求」ではなく「協力要請」として伝える
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困ったときは教育委員会、発達支援センター、法テラスなど外部機関を活用する
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高等教育では、学生本人が支援を申請する主体となるため、早めに「自己 advocacy(自己権利主張)」を学ぶことが大切
現場の課題
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支援員や専門人材の不足
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教員の知識・経験の差
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保護者や学生自身が権利を知らないこと
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高校・大学への移行期で支援が途切れるケース
これらを改善するために、国や自治体による制度整備と財政支援、教育者研修の拡充、保護者・学生への情報提供が必要です。
まとめ
発達障害や学習障害を持つ子ども・学生が、幼稚園から大学院まで教育の各段階で必要な支援を受けられない場合、それは「学ぶ権利」の侵害となり、法的に問題となる可能性があります。
しかし大切なのは、違法性を指摘することだけではありません。教育者と保護者、そして学生本人が連携し、その人にとって最も学びやすい環境を一緒に築くことが求められています。
教育は一人ひとりの人生を支える基盤です。すべての子ども・学生が安心して学び、力を発揮できる社会を実現するために、今こそ教育機関と家庭が手を取り合うことが必要です。
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