よく締めで事業者が使用する文章の矛盾
「関係法令および関係機関の指導に従い、自然環境との共存に配慮しながら事業を進めてまいります。」
ことあるごとに最後の締めに使用している事業者が良く使用している文言です。
しかし、この事業と向かい合ってくると、こんな事を言っているのになぜ?と、事業者の対応の違和感を事業者計画が明確になるに連れて、感じ始めます。
「関係法令および関係機関の指導に従い、自然環境との共存に配慮しながら事業を進めてまいります。」
については、その文脈構造上、一般読者に対し、
「関係機関が、当該事業と自然環境との共存可能性そのものを確認・指導している」
との印象を与え得る表現となっています。
しかし、実際の環境影響評価制度および行政協議の実務は、そのような包括的保証を行う制度ではありません。
関係機関による指導・協議の中心は、あくまで、
- 法令適合性
- 許認可要件
- 技術基準
- 安全対策
- 手続上の整合性
等の確認であり、
「地域の自然環境と真に共存可能な事業であるか」
という価値判断や、長期的・不可逆的影響を含めた環境保全の妥当性を、公的に認証・保証するものではありません。
にもかかわらず、本件表現では、
「関係機関の指導」と「自然環境との共存」が一連の流れとして接続されていることにより、
あたかも行政機関が、
- 自然環境との調和性
- 生態系との共存性
- 地域環境への受容可能性
まで含めて確認済みであるかのような印象を社会に与えかねません。
特に環境影響評価制度は、本来的に、
「環境影響をゼロにする制度」
ではなく、
「一定の環境負荷を前提に、その影響を予測・評価し、低減措置を講じる制度」
に過ぎません。
したがって、
「関係機関の指導に従っている」
という事実のみをもって、
「自然環境との共存が客観的に担保されている」
との印象を与えることは、制度趣旨を超えた誤解を招くおそれがあります。
さらに、「関係機関」という極めて抽象的な表現を用いることで、
- どの機関が
- どの法令に基づき
- どの範囲について
- どの程度の審査・確認を行ったのか
が不明確なまま、行政的正当性のみが強調される構造となっており、結果として、住民や一般市民に対し過度な安心感を与える危険性があります。
特に、大規模風力発電事業のように、
- 生態系影響
- 森林改変
- 水環境変化
- 土砂災害リスク
- 景観変化
- 累積影響
など、将来的・広域的・不可逆的影響が問題となり得る事業においては、
行政協議の存在それ自体をもって「自然との共存」が担保されているかのように表現することについては、極めて慎重であるべきと考えます。
この文章を見かけたら、とにかく注意が必要です。
お忙しいところ大変恐縮ですが、趣旨にご賛同いただける方は、ぜひ署名へのご協力をお願いいたします。また引き続き、本件を他の方へ拡散していただけますと幸いです。
https://voice.charity/events/14059